アレルギー症状解明の歴史:免疫の研究から始まった
- アレルギーの基礎・豆知識

免疫を作る実験中に一匹の犬が急死しました。この偶然のできごとがアレルギーを解明する手がかりとなりました
アレルギー症状を克服するためには、なぜアレルギーが起こるのか、その仕組みを知っておくことも重要です。少し難しい点もあるかもしれませんが、アレルギーの仕組みが理解できれば、その対策もとりやすくなるからです。
さて、アレルギーは決して新しい病気ではありません。しかしながら、そのメカニズムの解明が本格的に始まったのは、今世紀に入ってからのことでした。身体を守る「免疫(メンエキ)」という仕組みをご存じでしょうか。たとえば、麻疹(ハシカ)の予防注射をしておくと、麻疹にかかりません。正確には麻疹(ハシカ)のウイルスが体内に入っても、身体の防衛軍が叩き潰してしまうので、発病はしないのです。これは、予防注射によって身体の中に麻疹(ハシカ)に対する免疫抗体ができたからです。この身体を守る免疫システムを研究する途上で、偶然アレルギーが発見されました。もっとも、アレルギーの仕組みを考えれば、これはしごく当然のことだったのです。
免疫を病気の予防に初めて利用したのは、ジェンナーです。彼がわが子に種痘(シュトウ)を接種し、痘瘡(トウソウ)に対する免疫ができることを確認したという話はあまりに有名です。しかしながら、その当時(1798年)、どのように免疫が確立されるのか、その仕組みはよく解明されてはいませんでした。
その一方で、こうした発見に触発されたリシェーらは、イソギンチャクの毒素に対する免疫の実験を行っていました。1902年のことです。ところがその実験中に奇妙なことが起こったのです。まず犬にイソギンチャクの毒素を注射しました。これは、毒素に対する抵抗力をつけ身体に免疫を作るためです。こうすると、つぎに毒性を弱めた毒素を注射しても、イヌには免疫があるので、軽い症状は現れても間もなく健康に戻るのです。ところが、ある日こうして免疫を獲得したと思われる犬に、ふつうの犬でも害にならないほど、ごくわずかの弱い毒素を注射しました。するとたちまちショック状態に陥り、わずか数十分のうちに急死したのです。
この現象は、免疫のしくみからみれば、理屈に合わないことです。免疫をつくるはずの操作が、この犬の場合には、逆に作用してしまったのです。しかしながら、実はこれがアレルギーの最も重篤(ジュウトク)で即自的に現れる反応だったのです。今日、こうした現象はアナフィラキシーショックと呼ばれています。
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